比例区のみの定数削減は党利党略 

室長ブログ

  前項で、比例区のみの議員定数の削減が、独裁政権を生み出す危険性について述べた。

今回、維新が主張する、衆議院の議員定数削減案は、正にその道を拓く為のものである。

維新が誕生した大阪府議会における「議員定数削減」の歴史を辿れば、明確である。

 

  2011年、大阪府議会選挙に於いて、橋下徹知事の率いる「大阪維新の会」が、鮮烈なデビューを果たした。定数110に対して約45席(推薦等も含む)でした。

2015年には、定数を110→88に減らして、選挙となり、約50席を確保し、過半数となる。1人区が増え、そこでの維新の勝率が100%であった、。

2019年は、定数88に対して、51席を確保している。

更に、2023年には、定数を88→79とし、51席を確保。定数が減って、議席を減らしたのは維新以外の政党であった。<結果的には、(他者の)身を削る改革となった。>

 

  定数削減の結果、2023年には、53の選挙区のうち、36区が1人区となっている。所謂小選挙区制度と同じ。小選挙区では、大政党に有利で、大阪では維新が第1党なので、36区すべてで、維新が議席を得ている。

大阪で実施した「議員定数削減」は、身を切る改革を口実にして、維新の独裁政権を維持するための巧妙な手口であった。

 

大阪で、79議席のうち51席を有する維新、その占有率は、66%である。この占有率が、民意を正しく表していれば、維新の提唱する都構想が、2回の住民投票で否決されることはなかった。

それは、議員占有率が民意と大きく乖離していることを示している。つまり、急速な議員定数削減は、維新有利な選挙制度(1人区を増やすこと)に変えるための戦略であった。

関西で,維新が比較第1党となり、強いという事実は認める。しかし、第1党という立場を利用して、身を切る改革(即ち議員定数削減)という錦の旗を掲げて、次々と小選挙区の数を増やし、第1党にとって有利な選挙制度とし、さらに地盤を固めたというのが真の姿である。

大阪で成功したこの方程式を、国政にも及ぼそうとするのが、今回の議員定数削減の意図である。

日本の政治が、ロシアの二の舞を踏まないことを強く、警告する。

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