こんな経験 初めてです!驚きました!
室長ブログ
2025.9.29
先日、中学1年生の女子生徒のカウンセリングの時のお話です。
学校が少し苦手で、特に授業中に、騒ぐ一部の男子生徒が苦手です。成績も中くらいで、
授業にもついていけるのですが、騒がしくなると気が散って、授業が分からなくなります。
恐いA先生の時は、普段騒がしい男子生徒も猫をかぶって大人しくしています。
一方、真面目で几帳面なB先生は、暫くは騒がしい生徒も見過ごしていますが、治まらないと、切れて注意をします。しかし、男子生徒には効き目がありません。相変わらず騒がしくしています。
相談に来た女子生徒は、友達との関係にも苦労しています。教室で、本当は一人で居る方が、気持ちが落ち着いて楽なんですが、一人で教室に居ることができないのです。一人で居ることを友達がどう見ているのか?そう考えると、いやいやながら自分から声をかけてしまうというのです。それに疲れて学校を休んでしまうのです。
<一人でもいいんだよ>と話しました。<話かけようと無理しているのを止めたらどうなるだろう?>そんなことを話していました。
彼女の、家での楽しみの一つは、1年生だけの秘密のLINEグループでの会話です。
そのLINEグループに驚いたのです。
そのグループは、学校のある先生のファンクラブです。
メンバーは、1年生。男女いますが、大部分は女子。30~40人?
その先生は、1年生全クラスのある教科の担当先生です。
LINEでは、授業中のその先生のしぐさや発言、優しさ、面白さ、恐さも話題になります。そして、ほとんどが称賛と、共感の言葉です。
彼女は、家でしんどくなった時、そのラインを開いて、メンバーの遣り取りを読んでいると元気になるそうです。そして、自身も時々メッセージを送ると、共感のメッセージが返信され、それにも勇気をもらうそうです。
筆者の若い頃(中学校教員時代)にも、若い主に男性の先生にはファンは存在しました。「○○先生大好き」と、公言している生徒もいました。しかし、グループ迄は無かったと思います。
微笑ましい情景で、年輩の先生は、俺も若い頃はそうだった、と負けん気を出していました。
このLINEグループが、意外であったのは、「秘密」であることです。メンバーは匿名可能ですが、彼女も匿名ですが、皆に知られているとの事です。ただ、メンバー以外には、グループの存在を知らせないこと。入会は、メンバーの紹介で、その先生のファンであることが条件だそうです。この秘密性が、彼女をワクワクさせているのかも知れません。
秘密のグループがあっても良いのか?と思われた方もあるかも知れません。
ただ、私が、驚き、そして、この記事を書いたのは、以下の理由からです。
理由の1つは、ファンクラブまで出来たこの先生を良く知っているからです。実は、先のB先生です。
真面目で、堅い先生です。ルールには、厳格です。率直な分、対生徒、対教師間でも時々ぶつかっておられるように見えます。
生徒には、威圧ではなく、理屈で説得されます。時には、感情を出して、生徒を指導される場面もありますが、あまり恐くないので、効き目がない生徒もいます。
授業を拝見していると、授業準備や、説明に、生徒への優しさや、教師としての使命感も感じられます。
生徒たちは、そんな先生に触れて、その先生の人間性にフアンとなっているのではないでしょうか。表面ではなく、内面に目を向けていることに、驚いたのです。
2つ目の理由は、LINEでの遣り取りの中身です。
勿論、私は見たことは有りません。
彼女の話では、その先生への称賛と共感に溢れていることです。
読んでいると元気になる気持ちが理解できます。
最近のSNSでは、むしろ誹謗中傷、揶揄、弱い者いじめ、上から目線の他者の断罪、悲観的評価や未来予測等に溢れています。
対象が自分も嫌いなものであれば、誹謗中傷の言葉は、小気味よく気持ちもすっきりしますが、後々に、自身の中の醜い正体を見てしまった罪悪感にとらわれることもしばしばです。
対象が、自分の好きなものへの誹謗中傷なら、最初から無視するか、怒り心頭で観てしまうかのいずれかです。後味は、極めて悪く、心身共のダメージを残します。
結局は、誹謗中傷に溢れた言葉に接することは、マイナスでしかありません。
称賛共感の言葉に包まれることは、メンタル面では、安定感に寄与しています。
その意味で、多くの課題を抱えている彼女には、そのグループが大切な存在となっています。
このグループが、否定をエネルギ^にするのではなく、肯定をエネルギーにしている稀有な存在であることの驚きです。
勿論、称賛共感だけで、正しい判断力は育たないとの批判もあります。しかし、育ちの過程で、一人の先生への称賛共感は、時間の過程と共に自然に変化します。一時期のこの純真な傾倒は、良き経験になると思っています。如何でしょうか?