相談しましょう! せんせいこそ 援助希求能力
室長ブログ
「令和6年に自殺した児童・生徒は529人にのぼり、過去最多」(厚労省)の発表は、学校現場のみならず、社会全体に大きな衝撃と、不安を与えました。その背景にある、未遂や未然防止の出来事を想像すると、子どもたちの置かれている状況の厳しさが想像されるからです。
学校の先生方は、その子どもたちとの関わりの最前線に居て、常にゲートキーパの役割を担って頂いています。絶えず、子どもたちの様子から異変を感じ取る心配りも、日常的な活動となっています。
それ故、子どもたち自身から、友達や先生、家族にSOSを発信することのできる「援助希求能力」の育成が重要です。
SOSが気軽に発信できる集団の育成、SOSを素早くキャッチできる集団の育成等、それは学校全体が取り組まねばならない課題でもあります。
子どもたちをそのような集団に育成するためには、どうすればよいのでしょうか?
せんせいがたが、その範を示すことが良いのかも知れません。先生方同志が、互いに相談し助け合っている姿を自然に示すことです。
しかし、先生という仕事は、子どもたちや保護者の前で、いつもリーダーシップを発揮し、情熱的で、皆を鼓舞するイメージがあります。それだけに、迷ったり、他者に頼る姿が想像できません。そんなイメージが、先生自身にもあるのではないでしょうか。
学校の先生、医師、看護師、介護士などの職業の人に、「援助希求能力」が不足しているという研究もありました。
私自身、勤めていた学校で、突然に辞職や転職をされた先生と、何度か、お出会いしました。中には、中堅教員で将来を嘱望されていた先生の突然の退職のケースもありました。
どのような事情があったのかは、知らされませんでしたが、何もできなかったことに少し寂しい思いをしました。
「相談をしても、状況は変わらない」と思うかも知れません。事実、取り巻く状況は変わりません。しかし、その状況に置かれている自分自身の心境には変化があります。
心境に変化があると、見方や考え方、対処法にも変化が見られます。そして、何よりも心の変化は、自身の体調や気力にも変化を及ぼします。それが、結果的には、周囲にも波動をもたらせることも知られています。
「相談すること」は、想像以上に、重要なのです。
カウンセリングにおいては、最終結論は、相談者の決定に委ねます。そのプロセスにおいては、結論が正反対に揺れることもしばしばです。この“揺れ”に意味があるように思います。一人で、考え込む時、揺れることにはエネルギーを費やしますので、自ずから揺れを修正し、考えを収束するようになります。この収束が、時には、偏った考えや結論に執着する結果を生んでいます。
「相談すること」は、偏った考えや結論を、解きほぐす上では必要なことではないでしょうか。
自身の援助希求能力について 振り返ってみて下さい。
せんせいこそ 気軽に 積極的に 相談をしましょう。
ブログ一覧へ